#OO3 Chiemi Goh / Antique shop eel

昨年、福岡市の大名から薬院に移転し、量、質ともさらに充実した薬院にオープンしたアンティークショップ「eel(イール)」。100坪ある店内には、ERCOL(アーコール)やG-PLANなどヨーロッパから買い付けて来た商品が、ところ狭しと並ぶ。特に、ANGLEPOISEは全国でも稀に見る品揃えで、中には、希少価値の高いレアなモデルも!そこで、今回は、個人的にもアングルポイズ フリークというeel代表兼バイヤー郷知江美氏にアンティークの世界から見たANGLEPOISEの魅力について語ってもらいました。

AGP PARK(以下AGP):すごい量の家具ですね。年に何回くらい入荷するのですか?

郷氏(以下 G):家具、照明など合わせて800点くらい、コンテナで一気に入荷します。コンテナは、年に10から12回入るので、次々と新しい商品の入荷がありますよ。

AGP:お客さんとしては、毎回新しい商品を見ることが出来るので嬉しいですね。買い付けはどちらに行かれるんですか?

G:ベルギーとフランスは必ず行きます。あとは、ドイツとオランダの国境やオランダの北欧に近い北の方も好きで、最近はよく行きますね。期間は短いですが、ずーっと車で走って買い付けしていきます。

AGP PARK™ PEOPLE #003 郷 知江美 / アンティークショップ eel バイヤー
充実の照明はノンブランドの工業用からlouis poulsenのクラシックモデルまで興味深いアイテムが揃う。

AGP:ANGLEPOISEが沢山入荷していますね。こんなに沢山、入手出来ているお店はめずらしいのでは?

G:はい。イギリスには、ずっと買い付けに行っていたので、現地に知り合いが沢山いるんです。私がANGLEPOISEが大好きっていうのを昔から言っていたら、彼らが見つけたら教えてくれるようになって。オールドモデルのANGLEPOISEは、今、イギリスでも少なくなってきている様なのですが、そのネットワークのお陰で、多くの入荷が可能になっています。

AGP:なるほど。力強いネットワークですね。郷さんとANGLEPOISEとの最初の出会いはどういうものだったのでしょうか?

G:買い付けに行ったお店で、什器として使用されていたものを、売って欲しいとお願いして購入したのが最初です。
当初は、アングルポイズの名前すら知りませんでした。

AGP:モデルは何だったのですか?

G:APEX 90です。APEX 90は価格がリーズナブルになり、イギリスでは、すごく売れたので、数も割とあったんですね。

AGP:好きなモデルやおすすめのモデルはどれですか?

G:個人的には “1209” とAPEX 90の前身である”model75″が好きですね。現在は、数が殆ど無いんですよ。
インテリアって、自分の生活のスタイルに合っているかどうかが重要だと思うんですが、私にとって、自分の部屋に置いていて使いやすいのが “1209” なんです。
修理が簡単なところも気に入っています。

ディテールのつくりとか、フォルムでここに置いておきたいと思うのは “1227” ですね。
特に、3本バネの構造は、本当にすばらしい。錆も少なく、長く使用できます。

おすすめは、定番のAPEX 90のアイボリーです。“APEX90”はバネの造りが良くて使い安く、価格もリーズナブルなので、子供が小学校にあがる時にお祝いに買ってあげるなんていうのも良いですよね。

ちなみに、“APEX90”は、年代によってモデルが全然違っていて、刻印の作り方とかが違うんです。

AGP PARK™ PEOPLE #003 郷 知江美 / アンティークショップ eel バイヤー
年代の異なるANGLEPOISEがずらりと並ぶ

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APEX90:年代で移り変わる支柱側面の刻印

APEX 90で一番古いのはベースの直径が16.5cmで、この刻印が両方にあります。これ以降は、刻印がひとつになります。この時代には、ボディのカラーもオレンジとかがありますね。

新しくなると、より安定性を出す為にベースの直径も大きくなってきます。
でも私は、直径が16.5cmくらいの小さいベースの方が好きですね。

ANGLEPOISEのように、古くてもきちんと使えるものが好きですね。好きなものでも、飾っておいたら邪魔になる時があって。使えなかったら飾りにしかならない。

AGP:「使う」ことが大切なんですね。だから、eelさんは、メンテナンスにも重点をおいている。

G:はい。古いモノをそのまま大事に長く使うというのは理想なんですが、それは、なかなか難しい。だったら、壊れにくいように修理をして、気持ちの良い状態でお渡しするというのが、うちのコンセプトなんです。
一旦リセットするという意味も込めて、商品がお店に入ってきた時点で、全てチェックし、構造面とかコードやソケットを交換するようにしています。そうして、長く大事に使ってもらえれば有り難いなと思っています。
壊れてしまったらそのものの歴史が終わってしまいますから。

AGP PARK™ PEOPLE #003 郷 知江美 / アンティークショップ eel バイヤー
希少な1209のウォールブラケットモデル

AGP:リペアには専門知識が必要ですよね。

G:立ち上げ当初から、修理をしてから提供するという信念があったので、専門スタッフが居ない頃は、イギリスで修理を行ってから日本に運んでいました。
今は、専門知識と経験値のあるスタッフがメンテナンスを行っています。

AGP:意外にメンテナンスってお金がかかりませんか?

G:かかります!もう赤字なんですよ、ほんとは(笑)椅子は1回バラしたりするので、時間もかかりますし。でも、そこは外せないところですから。必ずやります。

AGP:レアな商品と出会っても、コンディションが良くない場合もあるでしょう?

G:買います!(笑)修理が出来るっていうのは、そういう強みがあるんですよね。

AGP:そうやって修理をしながら長く使用していくアンティークやビンテージの商品がある一方、今日ではファストファッションの勢いが強くなりつつあります。
その辺りについてはどのように感じていますか?

G:私は、その早く消費するということに反対しているわけではないんですけど、そうやって生まれて来たものには、その商品に合った使われ方があると思うんです。
例えば、Tシャツなんかは、長く着ろうと思っても、毎日着て洗濯してヨレたら、そのモノの “モノとしての役目” を全うしたわけじゃないですか。
それは、そういうものだと思うんですよ。
逆に、今、うちにあるアンティークのものは、基本的な構造が壊れたり、割れたりしない限りは、ずーと使えるものなので、長く使うことが出来たらなと思います。

AGP:では最後に、アンティークの視点からみてアングルポイズの最大の魅力は?

G:そうですね、アンティークと思えないくらいデザインがスタイリッシュで、しかも使い勝手が良い。壊れたらきちんと修理が出来て、これからも、永く使っていけるというのが魅力ですかね。
現代の製品が果たして長く使えるかって考えた時に、使えないモノもいっぱいあると思うんですよ。長くつきあえるデザインと機能って考えると当然高いものになってしまうので、この値段も魅力のひとつだと思います。
本当に、“古くて良いモノを長く使う”というのに適しているプロダクトですね。

AGP PARK™ PEOPLE #003 郷 知江美 / アンティークショップ eel バイヤー
1209キャスター付きフロアスタンディングモデル

PARK PEOPLE #OO3

アンティークショップ eel バイヤー

郷 知江美 ゴウ チエミ

アンティークショップでの勤務を経て、2003年、卸業者向けに「Witch Valley Antiques」を箱崎にオープン。その後、2008年に一般顧客に向けアンティークショップ「eel」をオープンする。2011年、薬院に移転。アングルポイズをはじめ他店にないレアな商品が揃うのは、バイヤー郷氏の人柄の賜物。

eel

福岡市中央区薬院1丁目7-12 セルクル薬院 1F+2F
092-406-8035
営業時間 11:00 -19:00
不定休
http://eel.soho.fm/

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