HISTORY

ANGLEPOISE® HISTORY

1855年

ハーバート・テリーが息子3人と共にスプリングを製造するHerbert Terry and Sons Ltd. 社を設立する。息子達はそれぞれ、財務・セールス・製造の役割を担っていた。
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1920年代

テリーブランドとして自動車のサスペンションパーツ、自転車のサドルやスプリングクリップなどの製品で順調にセールスを伸ばす。
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1931-1934年

ジョージ・カーワーダインがテリーブランドのスプリングを用いた重量バランスの技術的理論を考案。最初のアングルポイズランプが誕生した。オリジナルの4本スプリング型のタスクランプの特許を取得。
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1935年

市場において4本スプリングのタイプは工業用照明のイメージが強かったため、ジョージはテリーのデザイナーと共に、よりシンプルでエレガントなスタイルをもつ3本スプリングタイプの1227を考案した。
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1938-1939年

ノルウェー人業者:ヤック・ヤコブセン(後のLUXO)がアングルポイズのランプを織物機械用の照明として輸入。その後ノルウェーでのライセンス製造契約をテリーと交わす。第二次世界大戦が始まると、アングルポイズは夜間空襲を避けるための理想的ランプとして大活躍し、軍事オペレーションのテーブル用としても使われるようになった。
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1952年

戦後になると物不足が製造業者の大きな問題となってくる。スチールが品薄となったことでアングルポイズのアームはアルミニウムに変更された。Terry’sはオランダでの製造をHellaと契約。翌年アメリカでの販売権をLUXOに認可。LUXOはアメリカでの販売で大成功を収める。
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1979年

アングルポイズがポップチャートに登場。パンクニューウェーブ界で最も影響力のあるバンドのひとつである“ザ・ソフトボーイズ”のリードボーカル ロビン・ヒッチコックが「I want to be an Anglepoise lamp」という曲を作詞した。
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1985年

革新的な彫刻家、デイビッド・マックがオックスフォード近代美術館で360体のアングルポイズの黒ランプを用い、自由自在に調節可能という特性を利用した巨大で流れるような手を表現した作品を展示。
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1986年

ネス湖の怪獣ネッシーの探索を行っていたグループが第二次世界大戦で墜落した空軍爆撃機ウェリントンを発見。水から引き上げ新しい電源を装着したところアングルポイズ製のナビゲーターライトが点灯したという大ニュース!”R for Robert”と呼ばれるその機体は今もなおブルックランド博物館に展示されている。
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2003年

Kenwoodのミキサーやコダックのポケットインスタマチックカメラ、ロンドンの黒タクシーのデザインで知られるプロダクトデザイナー、ケネス・グランジがアングルポイズのデザインディレクターとして加わる。クラシックなイメージを尊重しつつも彼独自の感性でアングルポイズの新シリーズをデザイン。
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2004年

小説家ロアルド・ダールの博物館に設置するための特注依頼を受け、ジャイアント・アングルポイズを3台生産。その中の1台がオークションにかけられ、なんと映画監督のティム・バートンが落札した。しかし、これをきっかけに評判を得たジャイアントはその後定番商品となってしまう。
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2009年

アングルポイズ75周年の記念としてOriginal 1227の復刻版を再発売。英国郵政局ロイヤルメールの切手シリーズ:英国クラシックデザインにスピットファイヤ(戦闘機)、ミニ(自動車)、コンコルド、2階建てロンドンバス、ポリプロピレンチェア、ペリカンブックス、ミニスカート等と共に英国を代表するデザインに選ばれた。

ANGLEPOISEの軌跡

世界クラスの技術をもつスプリングメーカー テリー社

Herbert Terry and Sons Ltd. (通称Terry’s)は1855年に設立されました。Terry’s は、テリーファミリーによる家族経営の企業でスプリングや印刷技術の開発、製造を行っていました。隆盛期であった1928年のカタログには、様々な種類のスプリングやクリップ、自動車部品、そしてサドル等の自転車付属品が紹介されています。

同時に、彼らは高品質な自社製品を使った新しい商品開発を積極的に行っていました。ユークリッド幾何学に精通した優れたエンジニア、ジョージ・カワーダインと
世界クラスの技術をもつスプリングメーカー Terry’s との関係はそこで始まることになります。ジョージのアイデアによるスプリングを利用したバランスアームランプは
Terry’s の商品群に加えるにはとても理想的な商品だったのです。

ジョージ・カワーダインは元々Horstmannという自動車メーカーでキャリアをスタートし、1916年にはすでにチーフデザイナー兼工場長として活躍していました。その後、サスペンションシステムを専門とする自社の設立のため会社を去りましたが、財務的理由で経営不振に陥ったHorstmann社の再建のため呼び戻され尽力したそうです。Horstmann社は1929年最終的な生産中止に至るまでに4000台の車を生産しました。

その後、ジョージはスプリングと重量に強い関心を寄せ、自宅裏庭のスタジオで、自由に曲げられさらに思い通りのポジションをキープすることを可能にするメカニズムの開発に没頭していきます。

タスクランプの原型 4本スプリングを持つバランスアームランプ誕生

1932年、後のANGLEPOISEランプの原型となる、4本スプリング バランスアームランプの特許を申請します。小規模でしたが、自社でランプの製造も始めました。その際に使用されていたスプリングが Terry’s 製のものだったのです。製造を始めてすぐに彼はパートナーの必要性を確信し、1934年特許を取得するとすぐにTerry’s と特許の独占契約を交わしました。当時Terry’sが特許権としてジョージに払うロイヤリティーは1台につき4シリングだったそうです。その年1934年、バーミンガムでの英国産業博覧会においてこの新製品を発表します。

Terry’s は当初 ‘Equipoise’ (均衡)で商品登録を申請したのですが、残念ながら既にその名前の登録があったため“ANGLEPOISE” という造語を採用することにしました。多品種のスプリング製造を行っていたTerry’s には商品管理のナンバリングシステムがあり、全ての製品に通し番号がつけらていたそうです。12インチの短いアームがついたバージョンが1208で、18インチのアームのものは1209とつけられました。この「1209」は、ジョージの特許の原型と同じスケールで機能性が高く人気の商品となりました。

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model 1209

時代にニーズに応えた1227とMODEL75

4本スプリング型「ANGLEPOISE1209」はとても機能的なランプでしたが、そのデザインは工業的イメージが強いものでした。そこで彼らは、一般家庭をターゲットにしたランプの開発に目を向けるようになります。ジョージは Terry’s のデザイナーと共にデザイン開発を行い、よりシンプルな構造でエレガントなスタイルをもつ3本スプリング型「1227」を誕生させます。1934年、ジョージはこのランプの特許を申請し、翌年 ANGLEPOISEは「1227」の製造を開始しました。この新しいランプは、オリジナルの4本スプリングの販売台数をすぐに超えるほどの大成功を収めます。

特許申請時は、3層であった複層の鋳物ベースは2層に変更しスチールカバーで覆いました。初期のアームは、スチール製でシェードはアルミニウムのへら絞り加工でした。
より照明効率を高めるためにシェードを二段絞りとしました。

シェード上部のスイッチ付ランプホルダーには、Crabtree製の標準規格のものが使われていましたが、そのデザインは、あたかもANGLEPOISEのランプ用に作られたかのように、シェードの形状にとてもよくマッチしていました。そして、電源コードには綿を編み込んだ、ねじれタイプのケーブルが使われていました。

ランプと共に、キャスターベース、デスククランプ、ウォールブラケット用のアクセサリパーツが作られました。当時は天井取り付けタイプのアクセサリーのデザインもありました。

その他、撮影用や歯科医の治療用、病院の手術室用、ガレージ用と様々なバージョンがあり、戦時中は軍用機のナビゲーションテーブル用の特別仕様も製造されたほどです。それは特殊なモデルでコンパスに障害を与えないよう非磁性体素材のものであったそうです。

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model 1227

戦後の新しい時代に入ったANGLEPOISE

戦後の製造再開後は、アームはアルミニウム製に、シェードを支える部分はスチール製からダイキャストへ、シェードは通気性改善のため少々大きくなりました。そしてその新しいランプは「model 50」 と名付けられました。

1960年代に入るとCrabtree 社がランプホルダーの生産を中止したことでデザインの見直しを余儀なくされ、その結果、ソケットがシェード内部にセットされた「model 75」がその時代を象徴するデザインとして誕生しました。

そして1970年には、新しい国際安全基準に沿って電装系に大きな改良がなされ、ロッカスイッチはプッシュスイッチに変更されました。電源コードも二重絶縁のものになりアースが不要になりました。

1980年代に入るとより効率的な電球の開発が進み、1981年 PHILIPSから最初の電球型蛍光灯が発売されました。その新しい電球をつけたANGLEPOISEが “Tomorrows World” というTV番組に登場しました。

当初の電球型蛍光灯は、まるでジャム瓶のように重く、ランプが机に垂れ下がってしまっていたようです。そこでその問題を解決するべく Sola という新デザインが発表されます。

Solaは、省エネランプを利用した先進的商品として産業賞£5.000 を受賞しました。1982年の国会議事録には、省エネランプ仕様のANGLEPOISEが、ビックベンの愛称で知られる国会議事堂で使われていたとの記載がされています。

1989年、当時のマーガレット・サッチャー首相の肝いりで、テレンス・コンラン卿の指揮のもと「デザインミュージアム」(ロンドン)が設立されると、それを機にデザイン界の専門家達がメッセージを発信し始めます。

1992年には、ジェレミー・マイヤーソン氏(現RCA教授)が「ANGLEPOISE1227」を愛用品として選んだ25人のトップデザイナーへのインタビューを行い、そのイベントの記念として「1227」限定復刻版を発売しました。ほとんど手作業で製作されたこの復刻版は、製造コストがかかりすぎて利益は得られませんでしたが、その当時の製品は今日相当な額で取引されているようです。

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model 75 「写真提供:eel: Antique & Repair 」

次世代への商品開発を目指し、ケネス・グランジのもとへ

グローバルマーケットの時代に入ると海外の安価なコピー商品が出回ってくるようになります。そこで当時の4代目経営者ジョン・テリーは、新しい方向性の改革の必要性を感じ、
映画産業でビジュアルエフェクトの仕事に携わっていた息子のサイモンに相談をもちかけます。ANGLEPOISEの誕生経緯とブランドの価値を信じたサイモンは、会社の立て直しのため経営への参加を決心します。そしてデザイナー志向のマーケットを対象としたブランドの再構築と新しいデザイン開発を試みようと考えます。

新しい試みへのヒントはきっと自分たちの歴史のなかにあると考えたサイモンは企業アーカイブを探索します。そこで彼は偶然、コダックの”ポケットインスタマチックカメラ” や高速列車 “Inter City125″、ロンドンタクシーで知られるプロダクトデザイナー、ケネス・グランジの古いインタビュー記事を見つけます。

その中でケネス・グランジは、自身の愛用品であるANGLEPOISEを「これはバランスのちょっとした奇跡」と表現していました。この言葉に直感したサイモンは、すぐに彼に連絡をとり次世代への商品開発を依頼します。そしてケネス・グランジは顧問デザインディレクターとして、サイモンと共にANGLEPOISEのモダンな新境地を切り開いて行くことを承諾しました。そこでは「Type 3」(2003年)、「Type 75」(2004年)、「Type 1228」(2008年) といったケネス・グランジ デザインのモデルが次々と発表されました。

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Type 75

Giant1227誕生にまつわる秘話

また別の転機も訪れました。

作家・脚本家であるロアルド・ダールの博物館のために彼が執筆室で愛用していたANGLEPOISEの3倍サイズのランプをつくるという特注依頼が来たのです。

このジャイアントサイズの1227は3台が製作されるのですが、そのうちの1台がオークションにかけられ、落札したのはなんと映画監督のティム・バートンでした。

この特注品は評判となり、現在では定番商品となり世界中で使われています。

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Giant 1227

75年の歴史を築き、多くの人々に愛されてきたANGLEPOISE

75周年を迎えた2009年、ロイヤルメールの記念切手「英国を代表する10のデザイン」が発売されます。「ANGLEPOISE1227」 はコンコルドや2階建てロンドンバス、ミニなどと共に選ばれ、同時にこの年「Original 1227」を復刻発売させました。この復刻版は、当時のフォルムにナットやボルトの形状を残しながらも現代の電気基準に合う機能性を兼ね備えています。

ANGLEPOISEは、代々続く家族経営で今まで関わって来た人達との関係を、今もとても大事にしています。創立者ハーバート・テリーの玄孫であるサイモンは、現在商品開発ディレクターとして経営に携わっています。

ジョージ・カワーダインの息子であるデイビットは、ANGLEPOISEと同じハンプシャー州で自社工場を経営しています。ANGLEPOISEは、エンジニアリングコンセプトから誕生し、永い時を経てデザイナーブランドとして現在に至っています。

誕生から75年以上を経た現在でも、デザイン通の人々の間だけではなく、一般の人々まで幅広く知られるタスクランプのアイコン的存在になっています。

そして今もなおケネス・グランジとANGLEPOISEは開発に取り組んでいます。それはもうすぐ新世代のANGLEPOISEとして皆さんの前に姿を現すことでしょう。